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【662】

のほさんへの長いレス(1)  評価

ゆさみん (2014年09月07日 22時16分)

では、のほさん。
「日本のいちばん長い日」
私の長いレスをば(笑)

>私は中学一年のときに観た。
>文部省推薦ということで、全校動員として劇場に行った、と思う。

全校動員で、この映画を見せるというのが時代性をあらわしていますねえ。
私はのほさんより10歳弱年下ですが、全校で観た映画ってチャップリンとかゴジラとか「お母さん命をありがとう」(無論適当につけたタイトルです)みたいなお涙ちょうだいな映画とかでした。

>映画の舞台となった昭和20年(1945年)というのは、私が生まれたちょうど10年前であった。
>自分が生まれるわずか10年前の日本(大日本帝国)という国家が
>あんなにもアナクロリズムの塊であったということは、
>学校教育の中では露ほども知り得なかった。
>それだけ、衝撃的な内容だった。

10年の経過でそのような感想をもつこと自体が、戦争についての考え方が大きく変わった(ある意味、いかにGHQの政策の影響を受けている)かということがよく分かりますね。
のほさんが少年時代を過ごした10年間はとてつもなく大きな変化のあった時代でしたね。
再びですが、のほさんと私の10年間の差は大きいですね。

>三船敏郎演ずる阿南陸相、自刃のシーンのことである。
>阿南は割腹後も、悶絶しながらなかなか死なない。
>見かねた娘婿の竹下中佐(井上孝雄)が
>「陸相、介錯を!」と声をかけるが「無用だ!」と語気鋭く怒鳴り
>血まみれの手で右頚動脈をさぐり、息も絶え絶えの中、短刀で首を掻き切る。
>噴水のように鮮血がほとばしり、それでも阿南の体はゆらゆらと揺れ動く。

>実は阿南陸相の自決シーンと、森近衛師団長惨殺シーンは
>シナリオ段階では声と音だけのオフシーンとして処理されていたそうだ。
>しかし、岡本喜八監督があえて脚本の橋本忍に頼んで書き直させた、という。
>あくまでも人の生き死にを、画で見せるという、
>岡本監督ならではのエピソードであり、
>その壮絶なシーンは戦争が人にもたらす狂気を痛烈に感じさせるものだった。

まさにこのシーンはスゴいとしか言いようが無い迫力ですね。
多分、ここはのほさんが触れてくるだろうと思ったので、あえて言及しませんでした(笑)
きれいな死に方でない分、凄いリアル感が出ていました。
真実味とは何か。
今の映画に欠けている点を感じさせられました。
【661】

のほさんへの長いレス(2)  評価

ゆさみん (2014年09月07日 22時54分)

話は変わりますが、こないだ雑誌で松方弘樹氏のインタビューを読みました。
今や、時代劇で松方氏が演じる様子を多くの若手が参考に見に来るといいます。
それぐらい時代劇を演じることができる役者が少なくなったことの表れであるともいえ、また、松方氏の凄さを感じることのできるエピソードでもありますが、氏は今の役者が時代劇をちゃんと演じることが出来なくなった理由を現場にあるともいいます。

昔は一つのシーンを20回くらい撮り直すことなど当たり前でした。
それが、時間の制約や予算のかねあいもあるかもしれないが2〜3回でOKを出す(出さざるを得ない)といいます。
これじゃ、時代劇を演じることができる役者は減っていくだろうと・・・
ゆえに今の役者はかわいそうだとも。

少なくとも、「日本の・・・」の映画を観るにつけ、すさまじいほどのリアリティがあるのは岡本氏のこだわりと演出のせいだろうと思います。
多分、ゲリラ的に撮った皇居のシーンは別として(でも、それがゆえに逆に凄いシーンが撮れているともいえるのだけれど)それぞれのシーンで何度も何度も撮り直したんだろうなあ、とうかがわせる映画ですね。

>「日本のいちばん長い日」の原作は
>戦後20年目にあたる昭和40年(1965年) 7月、大宅荘一編として
>文芸春秋社から出版された。
>ところが、これが真っ赤な嘘であった。
>本当の筆者は当時、文芸春秋の編集部次長だった半藤一利氏。

ここらあたりはウィキあたりにも出ていますね。
ビックリいたしました。
この時代、売るためにここまでするんですね。

ああ、そういえば矢沢永吉氏の「成り上がり」も糸井重里氏の著作でしたね。

「当初の刊行は直接、証言者にあたり、実地の調査を重んじた。
当時はそれが可能だったが、疑いのあるものはとらなかった」

この文章も凄い。
巷で今、問題になっている朝日新聞の記者に読ませてやりたいもんだ。

>三船敏郎(阿南陸相)と笠智衆(鈴木首相)の演技は白眉ですよね。
>終戦の詔書の手続きが終わり、三船が笠に
>「いろいろとご迷惑をかけました」と南方の前線から贈られて来た葉巻を渡す。
>受け取った笠は三船の自決を予想して、後ろ姿を見送りながら
>「阿南君は暇乞いにきてくれたんだねぇ」とポツリと洩らす。

うん、ここのシーンも多分のほさんなら言及するだろうと思って触れませんでした(笑)
じわっとくるシーンでした。

>昭和天皇に関しては、やはり今上天皇としての配慮があったかと思います。
>現にキャストロールに松本幸四郎の名前はでてきませんし・・・

ああ、そうなんだ。
役者名でエンドロールに出てこないような気がしていたんですが、見落としていたと思っていました。
なるほど。
【660】

のほさんへの長いレス(3)  評価

ゆさみん (2014年09月07日 22時20分)

>>あと、これは誰も言及しないだろう小さなことで、
>>私が感心したのは「汗」である。

>突いてきましたか! ^^);
>この「汗」はねえ。
>私は全編を貫いている「ドラマの骨」だと感じてます。
>あれこそリアリズムだと思います。
>決起将校だけでなく、閣議で終戦の詔書案を議論する閣僚たちの「難産の汗」、
>拳銃を突きつけられたNHKのアナウンサー(加山雄三)の額に、にじむ脂汗、
>軟禁されていた玉音盤の録音班が解放されるや
>「水を、水を一杯ください!」と怒鳴るセリフとか
>あの「長い一日」に関わった人々のそれぞれの汗を見事に映像化しています。

まさか、この部分にのほさんがこれだけ言及されるとはおもわなんだ。(汗!)
いやあ、小さなこととは思うけど言っておかなくてはと思った点を、このようにちゃんと文章化されるととっても嬉しいです。

>撮影の村井博はモノクロ撮影と決まってから、わざわざフィルムを2倍増感してコント>ラストの強いシャープな画面にしているんですが、
>これも「汗」を意識していたからこそ、の手法だと思うんです。

なるほど。「ドラマの骨」であるということが説得力をもって伝わってきます。

>首相官邸や宮内庁内部も徹底的に調査して、オープンセットを製作。
>特に皇居乾門だけでも二ヶ月がかりで作ったというから、意気込みがわかりますねえ。

そうなんですか。
古い映画なので、どこがセットでどこがロケだとか映像では判別が難しい(笑)
全編ロケしたかのような映像にあらためて感心いたします。

>最近の邦画はCGの影響かディテールへのこだわりが
>どんどん希薄になっている気がして、残念でならんです。

私もそう思います。
「三丁目の夕日」でも思ったんですが昔の映像が全体的に「きれい」ですよね。
「三丁目の夕日」はノスタルジックなファンタジー映画といっていいですので、まだ分かりますが、昔を扱った映画が全部そうなったらいけないと思います。

でも、大河ドラマ「平清盛」で京都のリアリティを出そうと、当時の埃っぽさを取り入れたら非難囂々で「見にくい」と言われる昨今ですからねえ。(けっこう私は「平清盛」を気に入って観ていたんだけど)

それと最後に「岡本喜八監督のメッセージ」もじーんときました。

>私にとって戦争とは何であったか?
>机を並べた友だちが声もなくドンドン死んでいった日々である。
>『日本のいちばん長い日』は新しい日本の一ページ目だ。
>いささかの曖昧模糊を許さずに、私はこの一ページを知りたい。
>血と汗と涙がどのように流されて新しい日本が生まれたかを・・・

ホントに、私も未見だったのであらためて言いたいです。
戦争映画って、戦争自体を描くことであるいは戦争中の人々の生活を描くことで、訴える映画がほとんどだけれど・・・
この映画は、戦争の狂気と悲惨さを、終戦の日の一日前から当日に至るまでを描くことで、見事なまでに描き出している映画だと思います。
【659】

BORDER  評価

ゆさみん (2014年09月07日 22時12分)

熊楠さん。
「BORDER」全話見終わりました。
小栗旬演じる「死者を見ることが出来るようになった刑事」が死者から犯人を教えてもらうことで事件を解決するというパターンのドラマと思いきや、たしかに6話目あたりから、主人公が犯人を捕らえるために狂気をはらんだ行動に出はじめて、ついには捕らえることができなかった犯人を自分の○で○○てしまうというエンディングには、ギョギョギョ・・ではあります。
さらにラストシーンには(゜Д゜)であります。
ラストはポーンと放り出すような形だったので、いろいろと視聴者が想像をめぐらすことになります。
良く言えばインパクトのあるドラマであるといえるし、悪く言えば不親切きわまりない(笑)ドラマではありますね。
それも含めて演出の計算なのでしょうかね。
私としては「MOZU」よりは楽しめたドラマでした。

ところで「みおつくし」最終巻。
発売されていきなり文庫の売り上げ第一位に躍り出ていましたね。
あらためて、ほんとにファンが多いシリーズなんですね。
【658】

RE:映画について語ろう  評価

ゆさみん (2014年09月03日 23時24分)

のほさん。

「野歩のいちばん長いレス」
ありがとうございました。

長文のレス、痛み入ります。

またあらためて返信いたしますね。
内容が内容だけに、軽々しく返信しかねます。
ちょっとお待ち下さいね。

熊楠さん。
こちらももうちょっと待って下さいね。
BORDER
もうすぐ最終回なので、それ見終わってからコメントします。
【657】

外事警察 その男に騙されるな(1)  評価

ゆさみん (2014年09月03日 23時11分)

外事警察 その男に騙されるなBLACK DAWN(2012年) 
監督 堀切園健太郎 
脚本 古沢良太 
原案 麻生幾『外事警察 CODE:ジャスミン』 
出演者  渡部篤郎
    キム・ガンウ
    真木よう子
    尾野真千子
    田中泯
    遠藤憲一
    余貴美子
    石橋凌 
音楽 梅林茂 
主題歌 ブルーノ・マーズ「Grenade」

2年前に作られた映画。
さらにその2年前にNHK総合にて放送されたドラマの映画化にあたる。(というよりテレビの続編)
NHKのテレビドラマの映画化ということで、内容からして「ちょっとビックリ」感はあった。「あのNHKがよく作ったよな」という印象も持っていたから。だって、WOWOWあたりで放送してもおかしくない社会の裏側をえがくガチガチのハード路線だったから。

まず「外事警察」というのはどういうのかというと・・・

正式名称「警視庁公安部外事課」──ソトゴトという隠語でも呼ばれるその組織の通り名こそが“外事警察”であり、その目的は、日本国の安全を脅かす外国人テロリストや外国政府の諜報機関の調査、監視、摘発。長年その行動や存在そのものが秘匿され続けてきた、“日本のCIA”とも言うべき実在の組織なのである。  
犯罪捜査を行う通常の警察組織とは異なり、同じ警察内に存在しながらも、国内で暗躍する国際テロリストの取り締まりという性格から、他部署には組織の詳細は隠されるという。また、所属する警察官も身分を隠すために偽名を使用し、警察手帳を所持することも少なく、さらには家族にまで、職務の実態を明かさない
よくアメリカ映画などで、CIAの“目的のためなら手段を選ばない”姿勢が取りざたされるが、その“ブレ”のなさは外事警察も同じだ。彼らの最大の目的は「日本の国益を守ること」。目的を成し遂げるためには、多少の犠牲(それが警察の他組織の捜査活動を妨げたり、民間人の幸せな生活を脅かすものであっても!)はいとわない。時には、あらゆる法令を駆使して合法スレスレの手段を取ることさえあるという……。  日本の安全と平和を守るための組織でありながら、優先されるのはあくまでも“国益”。任務遂行のためには手段を選ばない組織、それが外事警察なのだ。(ネットより)

ね、面白そうでしょ?

その外事警察において「公安の魔物」と呼ばれる住本健司を演じるのは渡部篤郎氏。その手段を選ばない捜査手段に、本当にここまでやるの?と思わせるようなクセのある役をよく演じている。まさにはまり役である。
その部下を演じる尾野真千子氏は、そこに配属されてきた警察官であり、手段を選ばない住本に疑問と疑いの目で接し行動するが、テレビドラマの最後の方では、外事警察の一員として存在感を増していた。
実際に外事警察に従事していた人の証言によると「一般の方は、映画に描かれていることがにわかに現実とは思えないと思うけど、外事警察というのはあくまで影の存在。表に出たら手の内が明かされてしまうので公にはなっていない。こいつらが何をやっているかというのは、警察内部でも分かっていないのが実情です」とある。うーんリアリティあるなあ。
【656】

外事警察 その男に騙されるな(2)  評価

ゆさみん (2014年09月03日 23時10分)

原作が良くできていたからか、テレビドラマ版の放送に先立ち、その脚本を読んだS・D・Pのプロデューサー・岩倉達哉がすぐさまNHKエンタープライズに映画化を持ちかけ、テレビドラマ放送終了後の2010年1月に東映が配給に内定し、映画化されるに至ったとウィキには出ている。

オープニングでは全身を血に染めた真木よう子がひとり歩いてくるシーン。
インパクトのあるシーンだが、なぜそんなことになったかが、映画を見ているうちに分かってくる。

以下、ネットの文章による。

ストーリーは・・・・
2011年3月11日、東日本を襲った未曾有の大災害「東日本大震災」。津波の脅威にさらされ、原子力発電所の事故の影響で立ち入り禁止区域に指定された東北の大学から、ある重要なデータが盗み出されていたことが分かる。その事件から5ヶ月後、今度はCIAから北朝鮮のウランが日本に持ち込まれたという情報が持ち込まれる。盗まれた「重要なデータ」とは原子力関連部品の製造方法であった。このデータとウランがあれば、核爆弾を作ることができる・・・非核を明言する日本で、核の製造が行われたとなれば、国家を揺るがすことになりかねない。そこで警察庁警備局長の倉田は、かつて「公安の魔物」と称された住本を呼び戻し、捜査に当たらせる。

このご時勢に「核」「北朝鮮」「震災」をテーマに盛り込むのはかなり勇気のいることだったのではないか。しかも中途半端に描いたら面白くないし、批判の対象にもなりかねない。その点この映画は、綿密な取材と研究によって書かれているので、とても骨太な映画になっている。
スパイ映画らしく全編通して緊張感に満ちているが、「007」や「ミッションインポッシブル」のように派手なアクションはなく(クライマックスにはそれなりの緊張感はあるが)淡々と進んでいくストーリーが逆にリアル。

以前、同じ公安がらみのドラマ「MOZU」について現実感の無さを指摘したが、この映画はそんな点は見当たらない。実際は無いかもしれないが、あってもおかしくない状況をいかにもありそうに描いている。

ちょっとネタバレになってしまうので、書いて良いか躊躇うのだが、映画を観ていく内に、真木よう子について観客は「ある疑い」=伏線を予感するように仕掛けられている。そしてその伏線通りにストーリーは進んでいくのだが、それがラストで見事に裏切られる仕掛けになっていて、その仕掛けが「外事警察」らしい裏切られ方なので「おおお」と唸ってしまった。

いやあ、気持ちよい裏切られ方であり、見終わった後に骨太な映画を観た印象をもった。

それにしても渡部篤郎氏、見事にはまり役であり「目が笑っていない笑顔」を演技させたら、右に出る物はいないだろうと思えるような存在感がある。

まだ、観ていない方は存分に鑑賞されたい。
【655】

野歩のいちばん長いレス  評価

野歩the犬 (2014年08月31日 13時53分)

「日本のいちばん長い日」

この映画を私は中学一年のときに観た。
文部省推薦ということで、全校動員として劇場に行った、と思う。

なぜなら、映画を観終わったその夜、親友のK宅で映画の感想について語り合った記憶があるからだ。

映画の舞台となった昭和20年(1945年)というのは、私が生まれたちょうど10年前であった。

自分が生まれるわずか10年前の日本(大日本帝国)という国家が
あんなにもアナクロリズムの塊であったということは、
学校教育の中では露ほども知り得なかった。
それだけ、衝撃的な内容だった。

どんなことを語り合ったかは、今となっては不鮮明だがKがポツリと漏らした一言だけは、はっきりと覚えている。

Kは言った。
「人間、腹を斬っただけでは簡単に死なんよな・・・」

三船敏郎演ずる阿南陸相、自刃のシーンのことである。
阿南は割腹後も、悶絶しながらなかなか死なない。
見かねた娘婿の竹下中佐(井上孝雄)が
「陸相、介錯を!」と声をかけるが「無用だ!」と語気鋭く怒鳴り
血まみれの手で右頚動脈をさぐり、息も絶え絶えの中、短刀で首を掻き切る。

噴水のように鮮血がほとばしり、それでも阿南の体はゆらゆらと揺れ動く。

そして(画面上ではモノクロだが) 8月15日、朝の
真っ赤な太陽がスクリーン一杯に映し出される。

自分たちが生まれるわずか10年前、
武人とよばれた人の胆力に私とKは言葉にできない衝撃を
感じていたのだった。

「日本のいちばん長い日」を観てからわずか3年後の1970年11月25日
三島由紀夫は旧陸軍省の東部方面総幹部に盾の会の若者4人とともに乱入。
自衛隊に憲法改正のための決起を呼びかけ、
後追いした若者の介錯で割腹自決した。

三島の生誕80年目の2005年、私は市谷の防衛省見学ツアーに参加した。
三島が自決した旧陸軍省庁舎は遺構として、敷地内に移転、保存されていて
資料館になっていた。

戦時中のさまざまな資料が陳列されているケースの中に阿南陸相の遺書を見つけた。

「一死ヲ以ッテ大罪ヲ謝シ奉ル
      昭和二十年八月十四日夜
           陸軍大臣 阿南惟幾 【花押】」

三行に書かれた遺書の余白に「神州不滅ヲ確信シツツ」の追書があった。

遺書は映画で観た鮮血の噴水を彷彿とさせるように
黒く変色した血飛沫にまみれていた。

実は阿南陸相の自決シーンと、森近衛師団長惨殺シーンは
シナリオ段階では声と音だけのオフシーンとして処理されていたそうだ。
しかし、岡本喜八監督があえて脚本の橋本忍に頼んで書き直させた、という。

あくまでも人の生き死にを、画で見せるという、
岡本監督ならではのエピソードであり、
その壮絶なシーンは戦争が人にもたらす狂気を痛烈に感じさせるものだった。

そして、中学一年の私とKはまんまと岡本演出にうちのめされた。


【654】

野歩のいちばん長いレス  評価

野歩the犬 (2014年08月31日 13時52分)

「日本のいちばん長い日」の原作は
戦後20年目にあたる昭和40年(1965年) 7月、大宅荘一編として
文芸春秋社から出版された。

ところが、これが真っ赤な嘘であった。

本当の筆者は当時、文芸春秋の編集部次長だった半藤一利氏。
秦郁彦、保坂正康、両氏と並ぶ現代の昭和史研究の第一人者である。

平成7年(1995年) 戦後50年の節目に文春文庫から
「日本のいちばん長い日 決定版」として半藤氏の著作として再刊行された。

あとがき、を抜粋、引用したい。

「そのころ、毎朝4時に起きて、原稿用紙をしこしこと埋めた。
 毎朝、机に向かっていると日、一日と夜明けが早まっているのが分かる。

 <外には朝がそっと忍び寄っているかのようであった。暗黒が濃灰に変わりさらに灰色から深い青色へと空にはゆるやかな転換が行われている>

そんな実感を織り交ぜながらわたしはこの本を1965年の夏に書き上げた。
当時はいろんな事情から大宅荘一編と、
当代一のジャーナリストの名を冠して刊行された。
そのお陰もあり、翌年に東宝の映画化もあり、多くの人に読まれた。
今回、決定版として再刊行するに際し、
社を退いてもの書きとして一本立ちした記念にと、
亡き大宅先生の夫人のお許しに甘えて、
わたし名義に戻させていただいた。長いこと別れていた子供に『俺が親父なんだ』と名乗った酸っぱい気分を味わっている」

として、さらに
「当初の刊行は直接、証言者にあたり、実地の調査を重んじた。
当時はそれが可能だったが、疑いのあるものはとらなかった。
また、当時の情勢では差し障りがあり、
隠ぺいせざるを得なかったものもある。
それらを全て正し、新しい事実を加えた決定版を出すに際し、
名義者としての責任は明らかにしておかなければならない、と思った」とある。

そして、聞きとりをした56人の名簿が続く。
おそらく存命者はわずかであろう。

【653】

野歩のいちばん長いレス  評価

野歩the犬 (2014年08月31日 13時55分)

さて、DVD化され、改めて映画を観た私の感想になりますが・・・

さすがは、ゆさみん、さん。
言いたいことはほぼ、書きつくされてました(笑)

三船敏郎(阿南陸相)と笠智衆(鈴木首相)の演技は白眉ですよね。

当時の内閣というのは陸軍大臣が辞表を出せば、内閣そのものが
流産して終戦に関わる全ての手続きができなくなってしまう。
言わば、陸相というのは「伝家の宝刀」を懐に忍ばせている。

かたや、鈴木は二・二六事件当時の侍従長で襲撃され、重傷を負いながら
天皇から全幅の信頼をうけ「終戦内閣」の責任者として首相に任命されている。

この二人の内面のつばぜり合いを表情とセリフだけで見事に演じてますね。

ゆさみんさん、が書かれたシーンもいいですが
終戦の詔書の手続きが終わり、三船が笠に
「いろいろとご迷惑をかけました」と南方の前線から贈られて来た葉巻を渡す。
受け取った笠は三船の自決を予想して、後ろ姿を見送りながら
「阿南君は暇乞いにきてくれたんだねぇ」とポツリと洩らす。

中1の時にはなんの感慨もなかったこのシーンが、
この歳になるとジーンときちゃうんです

>これは天皇を登場させるのに対する制約があったのか、
演出上の意図があるのか分からないが。

昭和天皇に関しては、やはり今上天皇としての配慮があったかと思います。
現にキャストロールに松本幸四郎の名前はでてきませんし・・・

>あと、これは誰も言及しないだろう小さなことで、
私が感心したのは「汗」である。

突いてきましたか! ^^);

この「汗」はねえ。
私は全編を貫いている「ドラマの骨」だと感じてます。

サマーウールなんてない時代の真夏に軍服着て
陸軍省〜東部軍〜近衛師団司令部と走り回っていたら、
もう汗だくなわけですよ。
特に市谷周辺は坂だらけでしょ。
あの道を油の切れた自転車をキーコ、キーコとこいでたら、
もうホコリまみれで、軍服をつきぬけて
バケツの水をかぶったみたいに汗まみれ。

あれこそリアリズムだと思います。

それに決起将校だけでなく、
閣議で終戦の詔書案を議論する閣僚たちの「難産の汗」、
拳銃を突きつけられたNHKのアナウンサー(加山雄三)の額に、にじむ脂汗、
軟禁されていた玉音盤の録音班が解放されるや
「水を、水を一杯ください!」と怒鳴るセリフとか
あの「長い一日」に関わった人々のそれぞれの汗を見事に映像化しています。

撮影の村井博はモノクロ撮影と決まってから、わざわざフィルムを2倍増感してコントラストの強いシャープな画面にしているんですが、
これも「汗」を意識していたからこそ、の手法だと思うんです。
<  132  131  130  129  128  127  126  125  124  123  122  121  120  119  118  117  116  115  114  113  112  111  110  109  108  107  106  105  104  103  102  101  100  99  98  97  96  95  94  93  92  91  90  89  88  87  86  85  84  83  82  81  80  79  78  77  76  75  74  73  72  71  70  69  68  【67】  66  65  64  63  62  61  60  59  58  57  56  55  54  53  52  51  50  49  48  47  46  45  44  43  42  41  40  39  38  37  36  35  34  33  32  31  30  29  28  27  26  25  24  23  22  21  20  19  18  17  16  15  14  13  12  11  10  9  8  7  6  5  4  3  2  1  >
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