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【9749】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時21分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『公開処刑人 森のくまさん −お嬢さん、お逃げなさい−』 堀内公太郎 スマッシュヒットとなった前作をただ模倣しただけの、何の創意工夫もない駄作。 謎も仕掛けもトリックもない、そして何の面白みもない、文字を羅列したに過ぎない、箸にも棒にもかからない作品となってしまっている。シリーズ1作目のヒットに味を占めて、二匹目のドジョウを狙ったのだろうが、読者をバカにするのも程々にしたほうがよい。こんな内容ではこの作者も先が知れていると思える。デビュー4作目にして早くも自作の二番煎じでは、ネタ切れを自ら露呈していると思われても仕方ないだろう。 まあとにかく、本書を思わず手に取ってしまった自分を責めるしかあるまい。それと、相変わらず文章が下手、全然頭に入ってこない、心に沁み込まない。 |
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【9748】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時19分) |
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『空想オルガン』 初野晴 ハルチカシリーズ第三弾。相変わらず、学園ものの雰囲気を程よく醸しながら、各キャラの描き分けもきっちりできており、好感の持てる短編が並ぶ。今回はついに吹奏楽のコンクールに初出場し、しかしそちらに重心が傾くことなく、しっかりとミステリとしての体裁を保っている。 最終話ではこれまでにない構成が新味を出しており、さらにちょっとしたサプライズも用意されていて、素敵な佳作に仕上がっている。青春っていいもんだね、と再認識させられる。それも押しつけがましさがない辺りが、この作者の心憎いところじゃないかな。 『ヴァナキュラー・モダニズム』は一番のお気に入り。これは面白い、オチも最高。 |
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【9747】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時17分) |
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『スコッチ・ゲーム』 西澤保彦 回りくどすぎて、今の私には荷が重かった。それがこの作者の持ち味なので、ある程度は覚悟していたが、もう少しストレートに表現してもいいんじゃないかと思う。あまりにも迂遠な書きっぷりなので、内容を把握するのに精いっぱい、楽しむ余裕は生まれなかったのが、私の現状である。 それにしても、この連続殺人犯の動機は一般には理解しづらいのではなかろうか。作者自身がなんとなく有耶無耶にしてしまっているようで、どうにも気持ちが悪い。 私はこのシリーズのファンでも何でもないし、況してやタカチに対する思い入れなど全くないので、その意味では、これっぽっちも楽しめなかった。どうにも世界観がディープすぎて、理解不能な部分が多かった気がするなあ。これだけ地味な作品が、高得点を獲得しているのも私には正直不思議である。 わざわざ次の『依存』のために読むほどではなかったのかもしれない。しかし、今から『依存』に対する不安が募るばかりである。どうかそれが杞憂に終わってくれればいいのだが。 |
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【9746】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時16分) |
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『依存』 西澤保彦 力作であることは認めるが、やはりくどい。何と言うか、シリーズの集大成的な位置を占める作品としての価値はあるかもしれないが、例えばこれが本シリーズを初めて読む人にとってはどうなんだろう。主要メンバー4人がほとんど何の説明もないまま、それぞれの個性をむき出しにして我が物顔で物語に溶け込んでいるのは、ちょっと不親切ではないのかと思う。こういった、シリーズを通して読まなければ理解できない作品も、問題ありと言えばそうなんだろう。 やや過激な日常の謎を登場人物が提起し、それに対して議論を戦わせる一方、タックが衝撃の過去をタカチ相手に激白していく構成は、目新しさはないものの、引き込まれるシーンもあるにはある。が、心身ともに弱っている今の私には、さすがに無理があったようで、かなり記憶が曖昧な部分も多々あるかと思う。600ページ越えは少々長かった、無駄な描写があったとは思わないが。 後半のケイコ連続誘拐事件の謎はなかなか面白かった。他にも世話をしない飼い犬、老婆の幽霊など、なるほどよく考えられた仮想解決ではないだろうか。 まあとにかく、シリーズのファンは必読、その他の読者はいきなり本作を読まないほうが無難だと思う。ある程度、シリーズキャラを理解したうえで臨まれることをお勧めしたい。 |
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【9745】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時14分) |
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『我が家の問題』 奥田英朗 必要最小限の文章で最大限の情報を読者に提供する、これはなかなかできそうでできないことではないだろうか。それをいとも簡単そうにやってのけるのが氏の才能だと思う。そっけないほど簡潔な文章なのに、登場人物のその時々の感情の揺れ具合が手に取るように解る、素晴らしいことではないか。 これはどこにでもいそうな夫婦の、特別ドラマティックでもない日常から持ち上がる様々な問題を、それぞれの思惑の元、結局最後には夫婦が協力しながら解決していく物語を綴った短編集である。 本当にどこにでも転がっていそうなものから、やや深刻な様相を呈するものもまで、解決すべき問題は色々だが、それぞれに共通するのは、やはり夫婦愛なのだろう。その辺りの実に微妙な人情の機微や夫婦間、親子間の絆をサラリとしたタッチで描いており、大変好感が持てる。これはもう一種の名人芸と言っても過言ではないかもしれない。文章が上手すぎて、何も言えない。 |
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【9744】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時13分) |
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『まもなく電車が出現します』 似鳥鶏 日常の謎を扱った連作短編集。コミカルな学園ミステリと銘打たれているが、際立ってコミカルな点は見当たらない。むしろ、ライトでありながらシリアスな重箱の隅をつつくがごときミステリではないだろうか。 全般的にそこそこ面白いが、ドラマティックな要素が不足しているため、その意味では一般受けしない気もする。その中でも別格と言えるのはやはり最終話の『今日から彼氏』だろう。この作品ばかりは探偵役の伊神さんも出番はないと思っていたら、良い意味で期待を裏切ってくれた。だが、主人公の葉山と柳瀬さんの関係が他の作品を読んでいないため、イマイチはっきり理解できていないのは痛い。シリーズ物は順番に読め、ということなのか。 まあしかし、この作家の他作品も読んでみようかという気にはなった。意外と評価が低いのでどうすればいいのか・・・。 |
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【9743】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時11分) |
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『ホーンテッド・キャンパス 桜の宵の満開の下』 櫛木理宇 シリーズ第3弾、連作短編集。前作と比べて質が落ちたとかいうわけでは決してない。本シリーズはホラーと青春物という一見ミスマッチな組み合わせが、ことのほか特に若年層に受けているのだろう。意外なヒットとなっているようだ。だが、やはり己の情緒不安定な精神状態を反映してか、前作よりも楽しめなかった。どこか物足りないのである。ホラーと青春が絶妙なバランスで配されているのだが、どちらも中途半端という意地悪な見方もできるわけで、要するに飽きがきてしまいやすい質の作品なのかもしれない。 本作を読んで感じたのは、しっかりとした因果律が作品の底辺に根付いていることだ。それゆえ、物語は落ち着くべきところに落ち着くので、安心感を持って読み進められる。だが、一方では不安感をあおるべきホラーのあるべき姿とは若干異なる気もするわけである。怖さも程々、青春物としてもそれなり、いかにも一般読者受けしそうな作品であるのは間違いないし、良心的であるとも言えるだろう。 それにしても、相変わらず表層のみの書評で、本質を鋭くえぐるには程遠いねえ。我ながら情けないが仕方あるまい。 |
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【9742】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時09分) |
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『路地裏のあやかしたち』 行田尚希 何となく京極作品を彷彿とさせる作風を期待していたが、甘かった。だが、軽めながらこれはこれでそれなりの味わいを醸し出しており、好感が持てる。 登場人物のほとんどが妖怪だが、それぞれが人間に化けており、全く違和感がない。それだけに怪しい雰囲気はほぼゼロで、ただどことなく懐かしいような素朴な印象を受けるのが本作の特徴といえるだろうか。 本シリーズは表具師という相当マニアックな世界を描いており、他では得難い体験をさせてくれる。主に掛け軸に関しての怪異を扱っており、さして怖くはないが数多のホラーとは一線を画す作品に仕上げている。各キャラもきっちり描き分けができていて、特に猫又と雪女が化ける女子高生コンビは物語全体に花を添えている感じである。勿論、主役の400年生きている化け狐の環さんは、さすがの貫録と言えそうだ。見た目は二十歳そこそこの大人可愛い、和服が似合う楚々とした女性だというのだから、その魅力は妖怪といえどもバカにできないのである。 |
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【9741】 |
メルカトル (2017年03月18日 22時08分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『暗黒女子』 秋吉理香子 これは好き嫌いがはっきり分かれるタイプのミステリだろう。本格大好きマニアには総スカンを食らう可能性が高い。その点悪食の私は、面白ければジャンルを問わない質なので、十分許容範囲内である。しかし、イヤミスの中でも完成度の高い部類に入る作品だと思う。 カトリック系女子高の女王的存在の死をめぐって、彼女が主催した文学サークルのメンバーによる小説の形をとった犯人告発の朗読が始まる。それぞれの創作はすべて違った犯人が指摘されており、しかも、各々がなかなか良く描けていて面白い。いつみの死に際に手に握られていたすずらんに、いちいち違った意味を持たせている辺りも凝っていて興味深く読ませてもらった。一体犯人は誰なのか、それとも事故なのか・・・。 それにしてもなぜ闇鍋なのか、という疑問が湧くのは自然なことだろうが、これにも実はある狙いがあったのに気付くのは最後の最後だ。 最終章までは、イヤミス的な要素がちらほらと垣間見える程度だが、ラストにいたってイヤミス全開になる。しかもかなり意外な展開が待っていて、なるほどと唸らされることになるのも好印象である。 この作者は基礎がしっかりしているようで、文章力は問題ないと断言できる。ラノベ風との意見もあるようだが、そんなことはあるまい。十分に読ませる作品と感じる。 |
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【9740】 |
メルカトル (2017年03月17日 22時09分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『地球平面委員会』 浦賀和宏 アイディア自体はまあ悪くはないとは思うが、「平面世界」の正体には正直唖然とするばかりで、どうも真実味に欠けるというのが率直な意見。確かに世の中様々な人間が生きて生活しているわけで、こうした一種異様な思想というか、観念を信奉している人も中にはいると思うので、あり得ないとは言わないが。だが、個人的にはやはり共感しかねるのである。ここまで書いて未読の方には理解できないだろうが、これはそうした抽象的な側面を持った作品なので、ある意味やむを得ないと考える。 冒頭は、大学のキャンパスの雰囲気も良く伝わってくるし、地球平面委員会という得体の知れない同好会?にも興味を惹かれるようにうまく誘導しているため、それなりにストーリーに入り込めるのだが、途中ダレるのがよろしくない。 なぜ主人公の大三郎にここまでしつこく入会を勧めるのか、最大の謎の正体には正直拍子抜けした。何だそんな事だったのかって感じ。まあ、このジャンルに強い人にはピンとくるのかもしれないけれど。 全体像がなんとなくぼんやりして、強烈なシーンも見当たらないし、どこと言って見るべき点もないため、素材は面白いだけに損をしている気がする。やはりこの作家は自分には合わないのかもしれないし、客観的にみて文章がこなれているとは言い難い。 |
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