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【303】

[深夜の長距離バス](10/51)

生でったらナマで (2015年12月24日 15時20分)


普段、男性の体温や肌をこんなに身近に感じる機会はない。

こんな暗い場所で、男性に触れられている……それだけでも彼女にとっては非日常なのだ。



再び、肘がぐっとこちらへ押し出されて美咲の乳房を突いた。


(わざとなの……? もしかして、起きてるんじゃ……)



次に自分の取った行動を、美咲は自分でも信じられなかった。


逃げるように窓側へ寄っていた身体の体勢を、そっと動かして椅子へ座りなおす。


当然、乳房への肘の感触はさらに強くなった。


(……なにもおかしいことはないわ。私だって、堂々と眠っていいはずよ……)


太ももで、ぐっと男の足を押し返す。



ふと気付けば、乳房へ当たっているのは既に肘ではなく、男の二の腕全体だった。


彼はわざとこちらへ身体を倒すようにして、腕で美咲の胸の膨らみを確かめているように見えた。


(ううん……私は何も気付いてないわ……眠るのよ)

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【304】

[深夜の長距離バス](11/51)  評価

生でったらナマで (2015年12月24日 15時21分)



そして、美咲は瞳を閉じた。

眠ろうと――いや、眠った「ふり」をしようと。



彼女が瞳を閉じてしばらくすると、男は美咲の乳房に押し当てていた腕を下ろした

(……ほら、やっぱり気のせいよ……)


そのまま、うとうとと本当に眠りに落ちそうになったその時――。



そっと、ブランケットの上から膝上に、手のひらを乗せられる感触があった。


(あ……)

男の手が、美咲の膝に乗せられている。


眠りから急速に引き戻される意識。


指先が、ゆっくりと円を描いて彼女の膝頭を撫でる。



(んっ……)

ぞくり、と美咲の背筋に甘い痺れが走った。
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