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【33】 |
たいちょ。 (2006年01月14日 08時26分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
「そりゃ、内心は面白くないでしょうね、きっと。でも文句は言われませんでした」 ここで誤魔化したほうがよかったのかもしれない。が、俺はそうしてはならないような気がしていた。 Mさんにも、そして自分の彼女にも。 「まあ、俺が男だから、ってこともあると思いますけど。Mさんのほうはどうだったんですか?その、俺と一緒 にいること、彼氏には」 「言ってません」Mさんは視線を逸らせた。 「出張そのものを反対されましたから、言えるはずがありません。普段は「好きだ」とか、ろくに言ってくれな いくせに」 再びフローリングに視線を落とし、Mさんは呟いた。 「いいな…Nさんの彼女」 思っててもなかなか口にできないだけですよ、と言ってあげるのが普通なんだろうが、 いかにも空々しかったし、言いたくはなかった。俺は言いたくなかった。 部屋の空気が重くなった。 「女の人って、そういうこと言ってほしいものなんですか?」 Mさんは、と訊くと更に気まずくなるのはわかっていたから、そう訊いてみた。 「あ、いや。言ってほしいってわけでもないんです。わたし、そんな可愛いってわけじゃないのは知ってますし」 そんなことはない、と言いたかった。ただ控えめだし、地味にしてるから目立ちにくいだけ。 なにより内面の良さが表情にあらわれ、けっして魅力がないわけではない。 「でも、何年もつきあってると、最近じゃ「好き」って言ってもらえないのもちょっと…」 こういう場合、なんと言えばいいのか。 「男はそういうこと、言わないもんです」か?それとも 「俺がMさんの相手だったら、毎日でも言ってあげるのに」とでもいうのか? 「ああ、ごめんなさい。変なこと言っちゃってますね、わたし」 気まずい沈黙を、Mさん自身の言葉が終わらせた。 「ひさしぶりに、ラブストーリーみたいなの観ちゃったからかなあ」 「ラブストーリーというより、戦時下のヒューマン・ドラマって感じじゃないのかな、これは」 不意に弛緩した空気に、やっと俺は言葉を発すると、Mさんは「ふふっ」と笑って言った。 「Nさんって言葉にこだわりますよね」 「そう、ですかね?」 思い当たることがないわけではない。 「そうですよお。ただ映画みたあとにお話するじゃないですか。 そのときにすごく言葉を選んで話してらっしゃるな、と思ってました」 . |
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【32】 |
たいちょ。 (2006年01月14日 08時22分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
しまった、と思った… いつしか男の目でMさんを見ていたことが、彼女にわかってしまった。 「…男の人にそんなこと言われたの、初めてです」 そうなのだろう。普段から地味な服装だし、控えめで潔癖な性格には、 そんな軽口が簡単に言えないような雰囲気がある。 「彼氏とか、いないの?」 僅かな躊躇いののちに、俺は前から訊けなかった質問を口にした。 「…います」 俯いて答えたMさんの返答に、胸がずきりと、殆ど物理的な重い痛みを感じた。 ああ、やっぱり。 それは、こんな素敵な女性を、まわりの男がほっとく筈も無い、という当たり前の事実と、 このひとをいつのまにか好きになってしまった自分の気持ちを思い知らされる痛みだった。 見た事もない男に嫉妬するほどの。 「でも、彼にもそんなふうに褒められたこと、なかったです」 「なかなか付き合ってる相手を正面から褒められるもんじゃないですから」 俺は世間一般の男のあたりさわりのない意見として言った。 するとMさんはまた顔をあげて、まっすぐ訊いてきた。 「Nさんは、どうですか?彼女さんを褒めたりしないんですか?」 「う〜ん、なかなかね、男はそういうこと言えないもんです」 嘘だった。いや、他の男はそうかもしれないし、自分も今の婚約者と付き合うまでは、 そういう褒め言葉を言う事に抵抗があったのだが。最近はそうでもない。 「彼女さん、どんなひとなんでしょう。美人ですか?可愛いタイプ?」 「…俺としては、可愛いと思ってます」 なにを言ってるんだ、俺は。 「全然褒めたことはないです?」 「そりゃ…全然ってわけじゃ」 「そう、ですか」 「あの、今回の出張で、わたしと…知らない女と同じところに住んでるって、彼女さんは知ってるんですか?」 じっとこちらを見据える瞳に、嘘はつけない。 「はい。向こうを出る前にちゃんと言ってます」 「嫌がったりされませんでしたか?」 . |
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【30】 |
たいちょ。 (2006年01月13日 17時54分) |
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これは 【29】 に対する返信です。 | |||
竜宮城に訳わかんないのきてましたね(w あんなん気にしないで、これからもがんがってね♪ ※近畿のトピ主はあぁ言ってますが… 間違いなく茎包だそうです。(w (のこのこボールの方だったんですね。らじゃ♪です) |
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【28】 |
たいちょ。 (2006年01月13日 12時33分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
「まさか!こんな感じの人、そうそういませんよ。個性派女優だし」 「似てないんですか?」 「しいて共通点をあげるとしたら、どっちも童顔ってことくらいで…あとは全然違いますね。 キャラなんかもう正反対だし」 思えば婚約者のことについて、Mさんが訊いてきたのはこれがはじめてだった。 これまで意識して話題にしようとしてなかったのかもしれないし、 俺もMさんに彼氏がいるかどうかはあえて尋ねはしなかった。 「そうですよね、こんなひと簡単にいませんよね。女のわたしから見てもすごく可愛くて、 胸なんかもおっきくてうらやましいな」 ちら、と自分の胸元に視線をやるMさんにドキリとした。 「胸は関係ないですよ、ウチの彼女だってグラマーってわけじゃないし。それにMさん、スタイルいいじゃない ですか」 初対面から思っていたことではあったが、 遠慮して言わなかったことが口に出たのはすっかりうちとけたからだろうか。 「そんな、わたしなんか大したことありませんよお」 Mさんは頬をかすかに赤らめて照れ笑いをみせた。 「胸だってちっちゃいし、脱いだらけっこう余分なお肉がついてたりするんですよお…」 小さな卓袱台に隣り合って座ってそういうことを言われると、女を意識せざるをえない。 「…いや、いまの台詞は大概の女性を敵に回しますよ。Mさんがスタイル良くなかったら、世の女性は殆ど駄目 ですって」 俺はなんとか無難に済ませることのできる台詞をみつけた。 が、そこで終わっておけばいいものを次の一言は余計だった。 「男の目から見て、Mさんはホント、スタイルいいですって!」 「え…」 瞳をまるく見開いて、こちらに向いた彼女の顔が微かに上気しているように見えた。 つづく。。。 |
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【27】 |
たいちょ。 (2006年01月13日 12時30分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
ともあれ、その日から俺たちの生活パターンは決まった。 朝目覚めて簡単な朝食をとり、一緒に会社へ出かける。 途中、コンビニで昼食を買い込み、会社に着いてからは、取引先との折衝や現地採用の人間の指導、 本社との打ち合わせに忙殺されたが Mさんという有能で人当たりのよいパートナーのおかげで、大した問題も無くことは進んだ。 仕事が終わったあとは、必要であれば食材を買い足し、本屋に寄ったが、外食はいっさいしなかった。 そして帰ってからは映画を見ながら食事をし、 それが終わると観たばかりの映画やたわいもない話題に会話を弾ませる。 最初に借りたDVDを全部見終わると、レンタル店で新しいソフトを借りた。 ホラーばかりなのもどうかと思ったので普通の映画も借りたのだが、どれも皆喜んで観てくれた。 男女を問わず、これほどまでに嗜好が近い人間は珍しかった。 「Nさんの好みの女性って、こんなひとなんじゃないですか?」 ある日、観終わった映画「耳に残るは君の歌声」のヒロイン、クリスティーナ・リッチについてこう訊かれた。 毎日観る映画が、俺の観終わったものばかりでは、と彼女が言うので未見のものを借りてきた中の一本なのだが 前日に同じジョニー・デップとクリスティーナ・リッチ主演の「スリーピー・ホロウ」を観ていたせいだろうか。 確かに、今もっとも好きな女優のひとりだった。 「ええ、わかります?」 「可愛いひとですよねえ。なにか不思議な雰囲気があるし」 たしかにこの女優の纏うミステリアスな空気には独特のものがある。 「う〜ん、なんかね、目がいいですよね。日本人好みの顔立ちだし」 「彼女さんもこんな可愛いひとなんですか?」 まっすぐにこちらを観たMさんの真顔に、一瞬言葉が出なかった。 . |
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【26】 |
たいちょ。 (2006年01月13日 12時28分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
俺の申し出に、Mさんは素直に「じゃあ、遠慮なく」と微笑んだ。 よっぽど映画が気に入ったのだろう、ひとしきり感想を述べていたのだが、やがて 「それじゃ、わたしは洗い物しますから、 よかったらNさんはお風呂に入られてください」 そう言って席を立った。 「いいんですか?僕が先で」 腕まくりをして食器を次々に洗い桶に入れ、洗いはじめた姿を、もうすこし見ていたくはあった。 仕事でもMさんの動作には、無駄が無くそれでいて丁寧だったから、ついつい目がいってしまっていた。 機材の扱いは自分の方に一日の長があるはずだが、彼女には俺が教える余地などまったく無かった。 むしろ、この会社に入ってからこれほど手際がよい人間にお目にかかったことはなく、 一般的に女性が機械を苦手としていることを思えば、彼女の知性というか理解力の高さが伺えた。 そういえば、今見た映画に関しても、素直にストーリーを受け入れつつ、鋭い意見を述べていた。 「あの、明日も早いし、わたし髪洗うのに時間かかっちゃいますからどうぞお先に」 そう言われてまだ遠慮しているのも変なので、俺は風呂に入ることにした。 自分が入ったあと、一旦お湯を落としたほうがいかと思ったのでそう訊くと、 そのままでいいです、との答えが返ってきた。 「ほんとに、あまり気を使わないでくださいね。 10日も一緒にいるんですから」 それもそうか、と俺は思い直した。こちらに婚約者がいることをアピールした以上、 過剰に気を使うと却って意識させてしまうかもしれない。 だがそれは、俺自身がMさんを女性として意識してしまうことの顕われに他ならなかったのだが。 ただその時点で、俺の方に彼女とどうにかなりたいという明確な意識は無かったように思う。 Mさんが好みの女性であるとは思ってたが、結婚を間近に控えた身でもあるし、 婚約者を裏切るようなことはしたくなかったのだ。 . |
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【24】 |
たいちょ。 (2006年01月12日 12時33分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
ついに… (・m・)えんちょ。が壊れちゃいましたぁ↓ ttp://ns.minnahp.jp/data/1/maimai/bbs2/1136323831178.gif おっほん。 それではつづきをどぞ♪ ************************* 「…すごい!Nさん、面白かった!最後、ほんとにもうびっくりしたっていうか、すごいよかったです!」 それまで静かに観ていただけに、彼女のはしゃぎようが際立った。 「気に入ったみたいですね」 実はあのラストシーンは、ホラー的にはさほど珍しい手法でないため、 俺自身は初めて観たときに気が付いてしまったのだが、それをいうのも野暮なので黙っていた。 「はい、とっても!これは人に奨めたくなる映画ですよね〜。他の映画も楽しみにしてます!」 「そんなに喜んでもらえたらこちらも奨めた甲斐がありますね。 今日借りたやつ全部見終わったらまたいいのを見繕って借りてきましょう」 「いいんですか?なんか悪いですよ。Nさんだって観たいのあるんでしょう?」 彼女はそこでちょっと心配そうに言う。 「構いませんよ。こうやって人と一緒に映画観るのって新鮮ですから。特にホラーは」 「え?彼女さんとは一緒に観ないんですか?」 不思議そうに首を傾げる。 「ええ、すごい恐がりなもんで。だからいいですよ。それにホラー以外でもお奨めあります。 何回観ても面白いやつをピックアップしますから、Mさんがよければご一緒にどうぞ」 自分でも意外な成り行きだった。 婚約者がホラーが苦手なのは本当だが、本来人と一緒に映画を観ることには、実は抵抗があったのだ。 Mさんだとそれが気にならない。それがいいことなのか悪い事なのか、そのときには判断がつかなかった。 これより毎晩、夕食の度に映画をみるのは習慣になった。 そう、最後の夜を除いて… . |
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