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■ 70件の投稿があります。
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【10】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 19時48分)

     第6話    〔看板の無い店〕



俺は
(もしかして、テンボウって言い方が悪いのかな?)と思い、

 「テンボウっていうのは、このくらいの長さの白いプラスチックで、
   赤い点が千点で、黒が百点で…」と点棒の説明を始めると

滝さんは
 「知ってるよ!! テメー!俺を馬鹿にしてんのかっ!!」と、食い気味で怒鳴りました。



そんなやり取りをしていたら、、、いつの間にやら時刻は22時を過ぎ。。

 入り口のドアが開き、客人が2人入って来ました。 その二人がサラリーマンではない事は、見てすぐ分かりました。。

「あの窓から逃げろ」としか説明を受けていない俺は
 (いらっしゃいませを言うべきなのか?)が分からず、

体が硬直するほどの緊張を隠して
 とりあえず ビシッ!と一礼をしておきました。。


するとそんな俺を尻目に

客人と滝さんが
「まだ、安岡さん来てねぇーの?」「そのうち来ますよ。」 などと普通の会話をしていたので

 (なんだ……皆さんは、お仲間同士なのね♪)と少し安心したものです。そして、

    その安心が間違いだった事にも すぐに気付く事になるのです。



そんな感じでバイトを始め
 1週間程してから気付いたんですが、この雀荘は外に看板がありませんでした。
何故なら
 「一見お断り」で、限られた20人ぐらいの人しか来ない店だったからです。


つまり
   この雀荘は【隠れ家的な店】では無くて、【隠れ家】だったんですね。 






    第7話へ つづく
【9】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 12時18分)

     第5話  〔非常口〕




雀荘でバイトをする事になった俺が
一番最初に受けた説明は
 「ナニかあった時は、あの窓から逃げろ」 でした。。

俺の心の声
(ナニかあったら窓から逃げろ? ナニかってナンだよ…
  アレか?! アレの事なのか!! よし…何気なく聞いてみよう・・・)

 「ナニかって何ですか?」

すると、滝さんはニヤリとフクミ笑いをして
 「火事とか地震とか。。世の中には他にもイロイロあるだろ。」と言いました。

俺の心の声
(火事とか地震なら階段使うだろ フツー!!
   ココは二階なんだから窓の方が危ないっつーの! 
    俺はその「他にもイロイロ」ってナンだ?って聞いてんだよ!
     ……まぁ …想像ど〜りって事ですかね。。。)


滝さんのそのリアクションに対し、(これ以上のツッコミは無意味)と判断した俺は【その窓】を開けて外を見ていた。

(ああ…なるほど…
  ちょうど、隣の建物の屋根の上に飛び移れる高さなんだ。。。 へぇ〜〜〜。……そうなんだ…)

 
  一応、2回ほど 窓から外へ出る練習をしておきました。





結局。 幸いにも俺がこの窓を【非常口】として使う事は無かったのですが、

 滝さんは
 「過去に2回ぐらい役に立った。」と言っていたので、

  どうやらK察以外の ナンらかの揉め事があったのではないかと。。



   ………………さて、、、掃除でもしますか。。


(おお!コレが全自動のジャン卓か。。
  真ん中に牌を入れるとココから積まれた牌山が出てくるのか。スゲェーな。正に全自動!!)

俺は初めて見た自動ジャン卓に 少しアホ気味の感動をしていましたが
 その反面で 別の事に違和感を感じていました。

  その 違和感 がナンなのか…

   ハッキリ気付いたのは掃除を始めて30分ほど経ってからです。

(アレ??)
     「すいません。滝さん。点棒ってドコにあるんですか?」

滝さん
   「無いよ。。 そんなモン何に使うんだ?」


(何に?って……

   点を数える為に使うんでしょ? ……………………………… 違うの??)






     つづく
【8】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 12時16分)

    第4話   〔その雀荘〕




低い天井、汚れた壁、黒ずんだカーテン、
 薄暗い部屋に浮かび上がる3台のジャン卓。
ソコは正に映画で見る 裏ギャンブル の様相をかもし出していました。。

  一歩踏み込んだだけで寒気がした事を今でも覚えています。 
    ただ単純に部屋が寒かっただけかも知れません。。

そして
 初めて雀荘という場に立ったからなのか。。
  俺が根っからのギャンブル好きなのか。。。

  寒気と異なるもう1つの感覚。  奇妙な[高揚]すら感じていました。。。


 これから俺は ココで何を見て何を学ぶのだろうか・・・

  そんな事を考えて

まるで
   恋人の部屋に初めて入った時のソレとよく似た[高揚]に浸っていました。。




    そんな幼かった俺だから、
  この時は想像すら出来ませんでした。。。
     
     あの空間で過ごせる時間が  あんなに短いなんて。。。








 「非常口」へ つづく
【7】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 12時14分)

    〔滝沢さん外伝  4〕



馬鹿家族と別れた後も
 イライラが治まらない俺は、初めて滝さんに対して口答えをしました。。

「あんなに小さい子供を外にほったらかしておいて、
 ずっとパチンコしている奴なんて親の資格ないですよ!!
  ナンで説教の1つも言わなかったんですか!!」

すると、滝さんは笑いながら
 
 「親が見つからない方が良かったのか?」と、言ったのです。



   !!!ッ


    俺は殴られた様な衝撃を受け、そして悟りました。
       
  (滝さんは…この人は子供の心配しかしていなかったんだ!!)と、、、

そして          
  俺の夫婦への怒りは子供の為ではなく、
   俺自身のイライラを解消する為の 正義を振りかざした偽善である事を。。。


 (子供にとって、親が見つかる事が最優先! だから、説教なんて必要の無い事。。。
 
   滝さんが なかなか警察に行こうとしなかったのも
    子供を一人、交番に置き去りにしたくなかったからなのだろうか……
 
               全ては、見ず知らずの子供の為…)




滝さんは19時にパチンコを切り上げる様に俺に指示しました。
 という事は
  滝さんには今夜、他に何か予定があったハズなのに。。。



俺はこの時、初めて 『人の器』 というモノを考えさせられ

     この人から沢山の教わる事が有るんじゃないか。。。と

  滝さんに対して尊敬の念を抱き始めた。 

     そんな出来事でした。。。



     〔滝沢さん外伝  終〕
【6】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 12時13分)

   〔滝沢さん外伝  3〕


  …23時になりました。。。
   
   …もう4時間。何も変わらない無駄な時間が過ぎてます。。。

滝さんは、ロクに返事もしない男の子に声をかけ続け、
 ジュースやコンビニ弁当などを与えたりして時間を潰していましたが

嫌気が満潮に達した俺は
 
「こんな時間まで親が来ないのはおかしいですよ。事故かもしれないから警察に行きましょう。」と説得すると

 さすがに滝さんも「そうだな。仕方ないか…」と、重い腰をあげました。

そして交番へ向かおうとしていた俺達の前に突然
 満面の笑みを浮かべた夫婦が現れ
  「イヤ〜 遅くなってゴメンゴメン!さあ、帰ろう!」と、男の子を連れて行こうとしたのです。


   (…ちょっと! 待てや!コラ!)

俺が
 「すいません。。 失礼ですがあなた達はこの子のご両親ですか?」と尋ねると

その夫婦は悪びれた様子など微塵も無く
「ええ、そうですよ。
  夫婦揃って閉店まで確変が止まらなくて困っちゃいましたよ!
   イヤ、最初は二人共マイナスだったんですけどね…w
    最終的には30万くらい勝っちゃいまして!!」


   (俺はそんな事を聞いてんじゃねぇよ)


 まさか…とは思っていたが、 勝手なお節介とはいえ、
   俺達はこんな馬鹿家族に付き合っていたのかと思うと。。

コイツ等の無神経さに 情け無いやら、クダラナイやら、30万勝ちが羨ましいやら……

  、
    しかし、俺はその湧き上がる色んな種類の怒りをグッと堪えました。

 何故なら

(子供には)優しい滝さんが、この夫婦に一喝入れてくれると思ったからです。。


  (人情を重んじる滝さんが黙ってねぇーぞ!! この馬鹿夫婦がっ!!)と。


 しかし、

  そんな俺の願いは 滝さんの意外な言葉でモロくも崩れ去しました。

滝さんはただ一言、
 「ああ、そうですか。良かったですね。」と言っただけだったのです。


 「!!!ッ」 (ハァッ??! それだけ?!  ナンで?! ウソでしょッ…?!)
【5】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 12時08分)

    〔滝沢さん外伝  2〕



間違いない。。 あの子、朝も居た子だ。。ナニやってんだ…)
  そんなどうでもいい事を考えているとすぐに滝さんが現れました。。

俺は5万勝ちを、さりげなく誇らしげに渡し、
 雑談程度の気持ちで「あの子、朝からあそこに居るんですよ。変ですよね。」と
  一日中パチンコ屋の前に居る男の子の事を話ました。 

 すると・・・

  意外にも滝さんはその男の子に近寄り、話かけたのです。
  「どーしたボク?お父さんは?」

しかしその男の子は、滝さんに話かけられているにも係わらず
(ウルセェーな…関係ねぇーだろ。)という態度で返事すらしません。

俺はその子のフテブテしい態度を見て(あぁ…いつもの事なんだ…)と
 すぐに察して少し同情した程度でしたが

なんと、滝さんは
 「親が見つかるまで一緒に居てやろう」と言うのです!

 (そんなアホな?! ナンでこんなガキに付き合わなくっちゃいけないんだ?
   第一、このガキにとってもそんなの有り難迷惑なだけだろ?!)

俺は「警察に届けましょうよ」と提案しましたが
滝さんは
 「それはダメだ」と、アッサリと俺の案をを拒否し。。。

 その後も滝さんは警察に行く事をカタクナに拒否し続けていました。。。

 (まさかアンタ……指名手配されてんじゃねぇーだろーな)という 疑惑すら持ってしまうほどに。。。
    


そんな滝さんを置いて俺だけ帰るワケにもいかず……
 仕方なく何も喋ろうとしない男の子と滝さんと俺の3人で
  何とも表現し難いシラケムードの無意味な時間を過ごしました。。。





 つづく
【4】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 12時07分)

    〔滝沢さん外伝 1〕



私が雀荘でバイトを始める前にも、
滝さんと数々のエピソードがありました。
 その中で一番思い出深かった話を、本編4話の前に聞いて下さい。。

 それは

俺が滝さんに代打ちを頼まれるようになってから1ヶ月程経った日に起こった
 滝さんの人柄の一部を垣間見た話です。。。。。





[代打ち]とは、本人の代わりにギャンブルをする事なので、
 勝っても負けても基本的に、代打ちをする俺のハラは痛みません。

しかし、俺も人の子。

 5万円以上負け込んだ時には流石に責任を感じるもので
  そんな日は、俺自身の金で少し負債を負担し
 「今日は2万5千円負けです」と嘘をついた事も数回ありました。

 今思えば… 滝さんに(役立たずだと思われたくなかった)だけなのかも知れません。。



そんなある日。
 俺がいつもの様に指示されたパチンコの代打ちをしていると、
滝さんから
 「今からそっちに行くから換金しておいてくれ」と、電話がありました。

俺は(まだ19時前じゃん…珍しく早いな…)と、思いながらも
 言われた通りに出玉を換金してホールを後にしました。。

 (今日は5万勝ちだ。滝さん喜んでくれるかなー)
そんな事を考えながら滝さんを待っていた俺は パチンコ屋の外に居た一人の男の子を見て驚きました。

何故なら
 その小学2年生ぐらいの男の子は 朝も昼もソコに居たのです。。






 つづく
【3】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 12時02分)

    第3話    〔雑居ビル〕




何食わぬ顔で 麻雀を知っている と、答えた俺に

滝さんは少し嬉しそうな顔で
「おお、そうか。お前、夜中に暇なのは何時だ?」という、
 意味不明な質問をしてきました。

俺の心の声
(夜中は寝てるに決まってんだろ!
  昼間はアンタの代わりにパチンコ打ってんだろ)

「何時でも空いてます」

滝さん
「じゃー、夜中に雀荘でバイトしねーか」

俺の心の声
(まぁ〜、そんな話だと思ってたけどね…マジでヤバくないんッスかぁ〜?)

「よろしくお願いします。頑張ります!」




そう答えた足で
さっそく案内されたのは
 夜でも汚いと分かるぐらいに汚い雑居ビル。。
 
その汚い雑居ビルの
 ナンのニオイか分からないクサいエレベーターで2階へ上がると
 15畳ほどの汚い部屋に3台のキレイな自動麻雀卓が置いて在りました。


そして
 俺がそこでバイトを始めるにあたって 滝さんから最初に受けた説明は

  「ナニかあった時は、あの右の窓から逃げろ」 でした。。



   つづく
【2】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 12時00分)

    第2話   〔選択〕



滝さんの
「お前、麻雀出来るか」という質問に私は一瞬の躊躇をしました。

 突然質問されたから…… ではありません。

 [その言葉の裏にあるナニか]に、俺の本能が警戒音を発したからです。

しかし、このテの方への返答は
 「迅速かつ的確に!前向きな答えを!」が鉄則!!
  
   「イエス」か「ノー」です。

 絶対に煮え切らない答え方をしてはイケません。。

過去の経験からその事を理解していた私は
  一瞬の躊躇の間に次の思考を働かせました。

(麻雀かぁ〜。知ってます!って言えるほど詳しいワケじゃないし
  知りません!って言うほど知らない事もないしな〜。。
   ナンて言おうかな………

  って言うか、
  知りません!って答えたら「ああ、そうか」で、この話は終わりだろう…
   知ってます!って答えたらどーなんだ…?
  俺に麻雀打てってか?………イヤそれは無いか。。素人がどうにかなるモノじゃないし。。
   …でもどっちにしても、ヤバイ話じゃねぇ〜の? コレ?
 あんまり深くこの人と関わらない方がイイんだけど……
  …これも1つの社会勉強か〜? 嫌になったら逃げればイイかな……
    まさか追っては来ないだろぅし…う〜ん…どうしたもんかねぇ………)


    (この間、約0,6秒)


0,6秒間、散々悩んで俺が滝さんに出した答えは

  「基本的なルールとか役は分かります」 でした。


 不安の中に潜む好奇心に背中を押された感じだと思います。。。

イヤ、 もしかしたら…


 俺は滝さんに出会った時、すでに

  こんな普段の日常から脱する展開を 心のドコかで望んでいたのかも知れません。。。




     つづく
【1】

RE:  許してください。。。  評価

Piro (2013年03月27日 11時58分)

   第1話    〔出会い〕



パチンコ屋の某ホールで(今日はどの台にしようかな〜)と
 店内のスロットコーナーを徘徊していた当時22歳の俺に

一人の男が
「よぉ、そこの兄ちゃん。これ揃えてくれよ。出来るだろ。」と、声をかけてきました。

振り向いてみるとそこには
 40歳ぐらいでパーマ頭に口髭、時計は金のロレックス、
 派手な柄シャツからは金の太いネックレスと胸毛を出したファッションセンスの男が居たのです。。。

一目で 間違いなくサラリーマンではないなと理解出来るこの男。
 [滝沢さん]との出会いがすべての始まりでした。。


俺は
「イヤ…それは多分入ってないですよ。」と、保身の前置きをしてから目押しをすると、
  やっぱりスリーセブンは揃う事無くハズレた。 すると…

滝さん
 「もう一度狙ってみろ!」


 「!!!ッ」  「・・・あっ・・・ハイ」と、
  
 一応、奇跡を祈りながら目押しをしたのだが、そんな俺の気合い如きで当たるハズも無く
    無常にも777は並ばなかった。


すると滝さんは
 「ナンで揃わないんだ?! さっきリーチ目出てたんだぞ!」と言うので

俺は
 「あぁ… あの目は通常でも狙えば出るんスよ…」

それから俺はリーチ目について。  …とゆうよりも
 スロット自体の仕組みを少しづつ教えていく事で、
  (不本意ながら)滝沢さんと仲良くなっていき、

(不本意ながら)滝沢さんの代わりにパチンコの代打ちを任されるようになるまで
  あまり時間はかかりませんでした。。。




いつの間にか
 パチンコの代打ちをする事になった俺に
  滝さんは毎回、パチンコの軍資金として3〜5万円を渡してくるので
  (ナゼかはよく解りませんが)俺をすぐに信用してくれたんだと思います。


そして変な処が真面目だった俺は その気持ちに答えようと
  滝さんの代わりに結構真剣にパチンコを打つ日々が始まったのです。。

それは打ち子とは違い、客として滝さんがチョイスした普通の台を打つだけなので
 当然ボロ負ける日もあり、

 あまりに負け過ぎて 預かった金を全て使い果たした時には
  俺の身銭を切って負債を軽くした事も数回ありました。。。


 


そんな関係が半年程続いたある日 

滝さんが
 「お前、麻雀は出来るのか?」と、


  俺に聞いてきたのです。。。




    つづく
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