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【356】

RE:左手にコカコーラを 右手にカ...  評価

みゆりんりん (2016年02月10日 10時14分)

ペイさん

>ワタシとしては「よっしゃやったぜ」という感じです。

あ〜、はいはい・・・って流れね?(笑)

>ほら、日本刀のことを「ポン刀」って言うじゃないですか。あれと一緒です

いや、それも初耳なんだが?

東京から向こうではそう言うの〜?
こっちで聞いた事ないけど・・・

あっ!
大酒飲みだけど箱入り娘だったから、巷の略語は聞く機会がなかったのやも〜www

>まさかポン酢の入ったお酒とか思ったんじゃないでしょうね?

すっません!
マジでポン酢仕様かと思ってたw
ゆず酒とかと同じパターンで。
ゆず=果実
ポン=何?かの果実?それは無いよな〜。

ポンって何物?
やっぱり酢の事を指すの?

じゃ、酸っぱいどうにかなった酒なんだろうな〜って。

知らないって・・・最高♪
【355】

RE:左手にコカコーラを 右手にカ...  評価

PAINTER (2016年02月10日 10時05分)

メルシーマダム。

ん?ラストのぽんこつ口調が浮いてる?
そうですよね、ええ、ええ。

>ギャッ・・・・超気味悪い〜w
このように感じ取っていただけると、ワタシとしては「よっしゃやったぜ」という感じです。

しかしココにはちゃんと理由があって、あえてこのような違和感ありありの感じにしております。
最初は終始一貫ぽんこつ口調で書いていたのですが、諸々の理由からこのように書き直しました。

つーかまあ、それぞれの読み手が感じたことが正解、それで良いかとは思いますが、
その辺りを色々と考えていただけると、筆者としては嬉しいかもしれません。

ちなみにワタシは幼少の頃より、ゲームで負けた時などに
「今のはわざと負けてあげたんだよ」
とか言うタイプなのはご存知かとは思いますので、そこで察して頂ければ・・・w

ワタシのお嬢を大切に思う気持ちは、多少は伝わったかな・・・
あ、このセリフが一番気味悪いですね。失礼いたしましたw


ポン酒は、ニッポンのお酒=日本酒のことですよ。
ほら、日本刀のことを「ポン刀」って言うじゃないですか。あれと一緒です。
てかなんでお酒を一切飲まないワタシが知ってて、大酒飲みのマダムが知らないんスかw
まさかポン酢の入ったお酒とか思ったんじゃないでしょうね?(さすがにないかw)
【354】

RE:左手にコカコーラを 右手にカ...  評価

みゆりんりん (2016年02月10日 08時52分)

きょんちゃん、おはよーw

ばあちゃん、工夫する意欲はあったんだよね〜w
でもそういうの大事よね。

ウチの母ちゃん、工夫どころかろくに読みもしないタチで。
昔、娘がカルピス飲みたいって言ったところ、原液に氷を入れストローを刺し。

娘がむせて置いたところに出くわした。
マジ、知らんのかーい!

ポン酒って何〜?

美味しいの〜?

ちょっとだけ・・・カンさんが可哀想になった。
あんだけガンガンが超低姿勢にホロリ。

あたし的には『収まりゃー良いのよ』だったのでw
【353】

RE:左手にコカコーラを 右手にカ...  評価

みゆりんりん (2016年02月10日 09時01分)

こいじょーw

出てくんの、遅い〜w

ぽん部屋・・・ラストのおしり拭き、お疲れw

>土踏まずの部分にも筋肉が付いてて…みたいな

マジで?
いや〜、子供の頃から身体能力は高かったから、運動能力テストはずば抜けてたw
高校の時は貼り出すんだけど、いつも3位以内に入ってた。

でも・・・コツコツとやるのが性に合わないんだよね〜。
期間限定なら良いよ?
先が見えない期間とかマラソンとか。

性格がアスリートに全然向いてないんだな(笑)
球技とかはめちゃめちゃ燃えたな〜w
格闘技も見るのは嫌いだけど、やるのは好きw

相撲は一番見れない。
だって・・・あの肉と肉のぶつかり合い、男同士で肌をすり合わせ・・・
いや・・・無理だ(笑)

>天才っぽい悪って、やっぱ、アミバじゃんかよー

アミバは顔からして悪そうで厭らしい顔つき。
こいじょーは、可愛らしい薄毛で、ほんわかしてて、どっからどう見ても目が優しそうw
ちょぺーっとの狡さは、生きる知恵だべw

ほら〜、全然違う〜。
こいじょーがデブなら、イメージは芋洗坂係長♪

>手遅れだっつうのw

用ねぇな!

>  それから、、ついでに書くけど…

悔しさが分かる、このついで仕様♪

良いって事よ〜w
あたしゃ、寛大なのじゃ〜。

> ワテもマックス打ったろかなぁと密かに考えてたり…します

去年もキレたり思い余ってで、間違いホームランを何度か。
さすがに今年は無いよな〜と思ってたけど、ついついキレちゃってw

でもたまたま早く当たってくれたからのラッキーパンチなだけ。
いや・・・去年の間違いの数々も全てそうだった(笑)

ムキになっても当たらんし連しないから、適当なところで適当に運試し程度にしとくべ?

ちな、ぶっ込んでいく同僚A
日曜日、23000円ノーヒッツ。更に当たりそうな演出すら無かったそうで、本人ブチキレ。

よく飽きずに打てるもんだ。
そこだけは感心するw

追伸〜w
いまふるさと割で、宮城とかで米30%オフしてるの〜。
この前、つや姫精米10キロを試し食い。
悪くなかったから、玄米で30キロ買う予定〜w
【352】

RE:左手にコカコーラを 右手にカ...  評価

みゆりんりん (2016年02月10日 08時24分)

ペイさん、おっは〜w

読んだよ〜♪

今回は昔話テイストじゃなく、キッチリ現代ショートの様相でんな〜w

んで・・・感想
とてもよく出来てたと思うw
無理のないスムーズな流れ・・・

ただ・・・真面目な話をする時はって断りを入れてはいるけど、ラストのぽんこつトークが妙に浮く。


だがっ!!!

>「いきなりで悪いんだけど、次回の公演はかぐや姫に変更してほしいの」

>「それは知ってる。でも、かぐや姫以外のシナリオを演じる気はないわ。それが無理なら舞台を降りたっていい」

もしや、これってお嬢のセリフ?

ギャッ・・・・超気味悪い〜w
あっ〜、サブイボが〜〜!

ザワザワとしながら読み進めました(爆笑)

最初の辺りに、普段ならこんな感じなのに・・・を入れたほうが良かったかな。

あまりにかけ離れた感が残ったw


恐いくらいの美貌で、語尾が『・・・わ』、『・・・よ』
ねぇ〜わ〜(笑)

ダメだ・・・イメージが・・・湧かねぇ(笑)

リアルで会ってもこうだと・・・こっちが顔面蒼白になりそうだw

>楽しみだなあ。ワクワクするなあ。

んでしょ?
色々と自分なりの配合なり工夫なりするのも面白いと思うけど、素人じゃ中々手を出せないスパイスだらけのカレーってのも良いもんよw

>でも大丈夫です。部分カツラで問題なくカバーできるかと。

これも中々難しいもんよw

去年の正月に母ちゃんが『頭に乗せるの買いたい』ってんで、正月に付き合ったの。

オーダーほどは求めてない、普段ちょろっと被ってみるくらいの・・・ってんで、既製の中から探し・・・

悪くないってのが見つかったのよ〜。
そして既製品でも頭の形にちゃんと直してくれるのよねw

で、買った。
バンバン被って歩くかと思いきや、何かあった時に・・・

で、娘と母ちゃん連れて温泉一泊。
母ちゃんが風呂に入りに行ってて、みんな適当にゴロゴロ。
娘がギャッ!
どうした?って聞くと、ゴミを捨てようとゴミ箱を見た瞬間、もさ〜と黒い未知の物体が・・・

形を損なわないように、ゴミ箱の上にヅラを乗せてたんですねぇ・・・

そして・・・被ってる時はよく似合ってるのに、普段はスカスカに殆ど白という状態に、いきなりワサワサとあるのは目が慣れない(笑)

本人もその差に違和感を感じてるのか滅多に被らず。

被るなら、スカスカになる前に手を打とう♪

>ヅラは貴族たちの権力の象徴でもあったようです。

ヅラと香水は、そのおかげでレベルを高めたのですねw
【351】

RE:左手にコカコーラを 右手にカ...  評価

PAINTER (2016年02月10日 02時14分)

いやいや。
前作の時に、これ以上長い話を書くことなんて無いと思ってたのだけれど、
遥かに長い話になってしまいましたね。

全部読んでくれた人、お疲れ様でしたw
【350】

真説かぐや姫  評価

PAINTER (2016年02月10日 01時50分)

「ねえ団長、かぐや姫の話って素敵よね?」


彼女は、ちょっと真顔になってそう言った。
いつもの軽口を叩いている時とは違う雰囲気。
一瞬、その場の温度が下がったかのように感じた。

彼女と知り合ってからもう3ヶ月近くになる。
我が劇団のスカウトマンであるみゆこお姉さんからの強い推薦を受け、団長兼脚本担当の僕がこれは素晴らしい逸材だと主役に抜擢したのがきっかけだった。

知り合ってからわずかな期間だったけれども、これまで色々なことがあった。
彼女は見かけによらず強欲で、出演料の支払いで揉めたこともあった。
だけどそれでも、ここまでわりと良好な関係を保ってきたつもりだった。


「ん? ああ、そうだね・・・それがどうかしたの?」

「いきなりで悪いんだけど、次回の公演はかぐや姫に変更してほしいの」

「えっ? 次の公演は鯉の恩返しってことで、もうパンフレットも発注してるんだけど・・・?」

「それは知ってる。でも、かぐや姫以外のシナリオを演じる気はないわ。それが無理なら舞台を降りたっていい」

「は?舞台を降りるだって?よしてくれよ、そんなタチの悪い冗談は」


本当に悪い冗談だ。
やっと観客も入るようになってきたばかりだというのに、いきなり役を降りるだなんて。
そんな馬鹿な話があってたまるか。

ついこないだまで他愛のない雑談にも興じていたし、主演が引き立つ台本だって書いた。
思い出の演劇だって、ちゃんとこの場所に残っている。
それが突然降板するだなんてどうかしてる。
第一、台本をかぐや姫に変えてくれだなんて意味がわからない。いったいそれが何だって言うんだ。


「少し前から考えてたの。これは結構真剣なお願いよ」


ちょっとおどけた表情で、首をすくめてみせる彼女。
でも残念ながら、彼女の瞳からは冗談の片鱗すら感じ取ることができなかった。
初めて知ったけど、真面目な話をする時だけは語尾も普通になるんだな。
いつになく真剣な、そして大人っぽい彼女を見て、こんな時に不謹慎だけど凄く美しいと感じた。


「かぐや姫なら確か・・・何年か前に書いた台本があったと思うから、次の舞台用に修正すれば何とかなるかもしれないけど・・・それにしたって、いくらなんでも急すぎやしないか?」

「そう?でも女優なんてだいたい気まぐれなものよ。その時の気分でやる気にもなれば、やめたくなることだってある。そんなにおかしな話でも無いわ」

「それはそうなのかもしれんけどさ・・・」


僕はもうこれ以上、彼女に言い返すことは出来なかった。
もしここで主演女優に降板でもされたら、劇団自体が解散の危機だ。
しかし僕は何よりも、なんの前触れもなく「かぐや姫を演じたい」なんて言い出した彼女に困惑していた。


「次回公演はかぐや姫で決定ね。もし公演の前日までに台本が用意できなかったら、舞台はキャンセル。でも台本を用意できたのなら・・・」

「用意できたのなら・・・?」

「今まで通り主演女優として頑張るわ」


(↓に続く)
【349】

真説かぐや姫(その2)  評価

PAINTER (2016年02月10日 01時52分)

僕は少しだけホッとした。
彼女はまだ結論を出しているわけではない。状況が八方塞がりではないことに安堵したのだ。
そうだ、彼女は「公演前日までに台本が完成しなかったら舞台を降りる」と言ったんだ。
じゃあそれまでに完成させればいいだけの話じゃないか。
かぐや姫なら幸いにも数年前に書いた台本があるから、あれを手直しすればそれまでには間に合うはずだ。


それにしても、なぜ彼女はいきなりこんなことを言い出したんだろうか。
あまりにも唐突過ぎる。
前から少しワガママなところがあるなとは思っていたけど、まさかこれほどだったとは。

もしや彼女は劇団をやめたいのだろうか。
それとも、最近のマンネリ化した脚本に刺激を与えるために、あえてこんな突拍子もないことを言ってるのだろうか。

ダメだ・・・全くもって彼女の真意を読み取ることが出来ない。


ここで僕はふと、数時間前に二人でカレーの買い出しにスーパーへ行ったことを思い出した。
その帰り道に、彼女は大げさな身振りをしながら僕に向かって何かを言ってたんだ。
そうだ。彼女は夜空に輝く満月を指差して「看板女優を大事にしないと、月に帰っちゃうかもしれないアルよ?」って、子供みたいにはしゃぎながらそう言ったんだっけ。

でも僕は普段から彼女の話をぼんやりとしか聞いてないものだから、その時も適当に相槌を打って、それ以上何かを語ることもしなかった。
だけど彼女はそう言ってたんだ。「月に帰っちゃうかもしれない」って。
この期に及んでようやく僕も気がついたよ。彼女は本当は舞台を降りたがっているんだ。


彼女は劇団を去りたがっている―――。


月に帰らなければならなかったかぐや姫は、求婚してきた数々の男たちに無理難題を要求した。
彼女は劇団をやめたいのだけど、なかなかそれを切り出せないでいる。
だからかぐや姫の話になぞらえて、僕にこんな無茶な要求をしてるんだ。
月に帰る姫みたいに、皆に惜しまれつつ美しく去りたいと思っているのかもしれない。


それにしても、どうして彼女はイヤになってしまったのだろうか。
今の僕にとって、もはや彼女はなくてはならない存在だ。劇団の看板女優だし、将来的にはギャラの増額だって考えている。
それがなぜ今になって降板をほのめかしているのか、まるっきり見当もつかない。

彼女はいったい僕の何が嫌だったのだろうか・・・?

引きこもりなところか?人の話を聞かないところか?それとも屁理屈をこねてギャラをなかなか支払わないところなのか?
ひょっとしたら寿司屋に行こうと言って回転寿司に連れて行ったのが良くなかったのかもしれないし、偽物のブランド品を贈ったことに愛想が尽きたのかもしれない。
とにかく心当たりが多すぎてわからない・・・。


とにかく、僕は彼女をやめさせるわけにはいかない。絶対にかぐや姫なんかを演じさせてはならない。
そうなればきっと月に帰ってしまった姫のように、彼女はいなくなってしまうだろう。
そんな事態だけは回避しなければならない。

しかしこの状況でこれに気づいたのは不幸中の幸いだった。
まだ僕にもいくばくかのチャンスは残されている。
今後は出来るだけ引きこもらないようにもするし、出演料だって大好きなコカコーラを我慢して払ってみせるさ。
そうやって今一度、彼女のハートをこちら側に取り戻すんだ。
そう簡単にかぐや姫になんかにさせてたまるかってんだ。


(↓に続く)
【348】

真説かぐや姫(その3)  評価

PAINTER (2016年02月10日 01時57分)

ん・・・?いやいや、ちょっと待て。冷静になれ。

そもそも彼女は、こんな突拍子もないことを言い出すような性格では無かったはずだ。
確かに人並み外れて強欲なところはあったけれど、普段の彼女の言動は極めて常識的だ。
他人に余計な労力を使わせるのを嫌うし、ましてやいきなり「台本を変えなければ役を降りる」なんて理不尽なことを言い出すような人間でもない。
それがどうしてこうなってしまったのか。

ああ、そうだったのか。彼女は僕に気づいて欲しくて言っているんだ。
人の話を聞いてないところや、出演料を払わないところ。そこをなんとかしてほしいと暗に訴えているんだ。
だからこんな話を持ちだして僕を困らせる。

ああ、やっとわかったよ。彼女は僕の欠点を直してほしい、きっとそう言っているんだ。
つまり、彼女は本当は劇団をやめる気なんてない。
かぐや姫を演じたからって、いなくなってしまう事なんてないんだ。

ここにきてやっと確信を得たよ。彼女の真意はそこにあったんだ。


「そこまで言うなら仕方ないな。じゃあ次の舞台はかぐや姫でいこう」


僕はすべてわかったよ、という面持ちでそう答えた。
これから僕が態度を改めていきさえすれば、彼女がいなくなってしまうことなんてない。そんな事はあるはずがないんだ。
胸の奥で言い知れぬ不安が広がっていくのを打ち消すように、僕は心の中でそう呟いていた。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、彼女はその小悪魔のような瞳で僕を一瞥するとこう言った。


「わかってくれて嬉しいわ。それじゃあ台本、待ってるから」


それから数日間、彼女が最高の舞台で最高の演技を出来るようにと、僕は徹夜作業で台本を練り直して完成させた。
彼女は舞台稽古なしでも完璧に演技をこなしてくれるという、まさに女優になるために生まれてきたような天賦の才能の持ち主だった。
だから台本が完成した時点で、僕の仕事はもう終わったようなものだった。


そしてやってきた公演日。彼女は可憐に、そして妖艶にかぐや姫を演じきった。
姫が月に帰ってしまうラストシーンでは、客席のあちこちから嗚咽ともとれるような、すすり泣く声が聞こえてきた。
観客に混じって見ていた僕も、少し泣いていたのかもしれない。
あまりに見事に演じていたので、僕は本当に彼女が月に帰ってしまうような、そんな気がして急に不安になった。


そんな非現実的なこと、あるわけがない。
ありえないことだとはわかっていても、どうしても良くない結末が脳裏を駆け巡る。
額に汗がにじんできた。
そんなこと、あるわけがない。
大丈夫だ。大丈夫だ。悪い考えを必死に振り払おうと、僕は頭の中でそう何度も唱えた。

ラストシーンも終わり、そろそろ舞台の幕も下ろされようとしていた。
公演が終わったら、彼女は去ってしまうかもしれない・・・。

そしたら彼女とはこれでお別れなのだろうか。本当に本当にお別れなのだろうか。月にでも帰ってしまうのだろうか。
冗談じゃない・・・っ! 僕はそんな結末を決して望んじゃいない。


(↓に続く)
【347】

真説かぐや姫(その4)  評価

PAINTER (2016年02月10日 02時01分)

幕が下りると、僕は大急ぎで走って楽屋に飛び込んだ。
楽屋では彼女が、一人でコカコーラを飲んでいるところだった。
突然の来訪者にちょっとビックリしたような、そんな彼女の顔がそこにあった。


「そんなに慌てて・・・いったいどうしたのよ?」

「はは・・・あはは・・・」


僕は脱力して、へなへなと力無くその場に座り込んでしまった。


「そうだよな。そんな馬鹿げたことあるわけないじゃないか。月に帰ってしまうなんてね。本当に僕はどうかしてるよ・・・はは、は」


何はともあれ、彼女の姿を見て僕は心の底からホッとした。
これからはもっと彼女の話を真剣に聞くようにしよう。出演料についても一考しようじゃないか。
でもここ数日間の僕はよく頑張ったと思う。
彼女だって「台本の手直し、徹夜でよく頑張ったにゃん」って僕を褒めてくれるはずだ。


「それにしても、今日の舞台は大成功だったね」


僕は安堵の表情を浮かべながら、彼女にそう話しかけた。


「そんなの当たり前アル!」


きっといつものドヤ顔で、元気にそう答えてくれるはずだった。

でも、そこにはもう彼女の姿は無かった。
彼女は楽屋から忽然と、まるで煙のように消えてしまったのだ。

いつの間にか開いていた楽屋の窓からは、満月の優しい光が僕を照らしていた。
僕はその優しい光に照らされながら、3ヶ月前の出来事を思い出していた。

それはまだ彼女が劇団に入ったばかりの頃。
彼女は劇場内の書庫から一冊の台本を取り出してきて、僕にこう言ったんだ。


「コリはとっても素敵な台本だにゃん。いつかこんなお芝居が出来るような女優になれるよう精進するアル」

「ケドケド、最後の場面だけは、皆がハッピーエンドを迎えられるように書き直してほしいかもしれないにゃん」


ああ・・・やっぱり僕は、彼女の話を何ひとつ真剣に聞いてあげてなかったんだ。
あの時の彼女の話を、僕が少しでも真剣に聞いてあげていれば、このラストシーンは絶対に書き直したはずなんだ。
そうすれば彼女が月に帰ってしまうこともなかったのに。

思い起こしてみれば、途中で彼女はいくつも僕にヒントをくれていた。

今回の公演はかぐや姫にすること。
公演までに台本を手直しすること。
ちゃんと台本を仕上げてくれたら、これまで通り劇団にいてくれること。

これらすべてが僕にくれたヒントだったのに。
だけど僕はこれだけ沢山のヒントを貰っていながら、とうとう正解までたどり着くことが出来なかった。

昔話の中のかぐや姫は、求婚してきた貴公子たちに無茶な要求をして結婚を断った。
でも僕の劇団のかぐや姫は、無茶な要求でもなんでもない、こんな簡単なことすらも聞いてもらえていなかったのだ。

彼女は可哀相なかぐや姫。そして月へと帰っていった。
そして僕は誰もいなくなった楽屋の窓から、夜空に浮かぶ満月をじっと見上げていた。

(↓に続く)
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