| トップページ | P-WORLDとは | ご利用案内 | 会社案内 |
返信元の記事
【2】

社長 2

えすびい (2006年05月18日 22時28分)
 『社長 vol.2』

 それは,6月だった。妖しい季節だった。
 夕闇を心に映す季節だった。
 以下に述べる事件は,大学の実験の最中に起きた。

 Kが,自分は暗い人間じゃないと突然言い出した。
 前々から,俺たちのゼミの中で,Kは『暗い』と言われていた。
 それを払拭したかったのだろう。または,張り詰めた空気を緩めたかったのだろう。
 Kが突然,「俺,みんなから暗いと言われてるけど,そんなことねえよ」と言い出した。
 そして,みんなが黙々とフナのスケッチを描いている中で,「俺はサンシャインKだ」と大きな声で叫んだ。
 俺たちは吃驚してKを見た。
 そして,実験室は大爆笑に包まれた。

 時は夜の11時。午後の1時から実験は始まったのだ。もう既に10時間は越えている。
 みんな,単調で苦痛な途轍も無く長い時間を過ごしたことで,妙なハイテンションモードに入っていた。
 経験がある方は分かるであろう。
 徹夜などをしていると,頭がマヒ状態になり,何を言っても面白く,みんなゲラゲラと大声で笑い転げる時間帯があることを。
 この時の俺たちが,そういう状態だった。

 そして,♂たちが自分に横文字の渾名を付け始めた。
 Nは「それなら俺は,セクシーNだ」と叫び,
 N2は「俺は,アダルトN2だな」とボソッと言う。
 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 社長は満面の笑みで「それじゃ,私はナイスミドルSということで」とのたまった。
 
 そうなのだ。
 彼は気付いていたのだ。自分がみんなから中年に見られているということを。
 俺たちは真夜中の実験中にも拘らず,ガラスが割れんばかりに笑った。

 Y(女性。今で言うロリ顔で可愛い)は,先輩の差し入れのミスドのコーヒーを吹いた。
 O(女性。松田聖子の大ファンで,自分もいつかは芸能界に入ると考えていた。美人)は,ぽつりと言った。「社長,自分のこと分かってるんだ」

 それから,ゼミの中で,Sのことを『社長』と呼ぶのに,ためらう者はいなくなった。
 そして数百人の他ゼミの者もみんな,社長と呼び,彼を知らない者はいなくなった。
 天皇が国の象徴であるが如く,彼は大学の象徴となった。
 勿論,大学当局は嫌だったろうけど・・・。

■ 27件の投稿があります。
3  2  1 
【3】

社長 3  評価

えすびい (2006年05月18日 22時31分)

 『社長 vol.3』

 社長は,北海道で有名な塾の講師をしていた。
 そして,塾に来る中学生の可愛い子を見つけては俺達に報告をしてくれた。

 「先輩,先輩,実は昨日可愛い子を見つけたんですよ。いっひっひっひ」
 もう満面の笑みである。
 本当に好きで好きでたまらないのである,女子中学生が。
 まあ,確かにそうである。
 彼を相手にする大人の女はいないであろうから。
 これは彼の傾向であるが,同時に責任であり,義務でもある。
 民事的にもなんら問題が無い。
 しかし,塾に通わせてる親の心境や如何ほどであろうか?
 心配である。
 彼には責任を全うする能力は無い。
 いつ手を,いやティ○ポを出してもおかしくないのである。
 いつ出すか我々は期待していた。

 そして,嬉しそうに話す彼を見るのは楽しいのである。
 話を聞く我々は,刑事的に問題ない。
 民事的にも全く問題ない。
 気楽である。

 ただ,楽しい話をするときの彼の行動にちょっと問題があった。
 靴下を脱いだ後,足の指の間で色々な物を擦るのである。
 擦るのは,ティ○ポもそうだが,自分の部屋でやってほしい。
 彼の足は臭い。
 俺の足も臭いが,彼には敵わない。
 さらに,水虫であった。
 もう最高である。

 ある時,Nのアパートで,ギターのチューニングをするための音叉を足の指の間で擦った。
 いつものように。
 Nは,もろに嫌な顔をした。
 しかし,社長は気付かない。
 気付くわけはないのである。

 彼は『非常識』を通り越して,『無常識』なのだから。
3  2  1 
メンバー登録 | プロフィール編集 | 利用規約 | 違反投稿を見付けたら