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【94】 | RE:苺のショートケーキ 2 (%) (2010年05月06日 02時01分) |
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学校の部活も休部にさせて貰って友達の誘いも全部断ってずっと学校から病院に直行。 初めは恥ずかしいのか知らないけど「毎日来なくていいよ。」って言われたりした。 でも、病院なんてやっぱりつまらない場所だからすぐに「早く来てよ!」って言うようになった。 大抵は母さんがそばについていたんだがどうしても居ない日とかできたりしたから そんな日はこっそり学校休んでずっとついててやってた。 俺あんまりしゃべるのうまくないんだけど、一生懸命話すと妹も笑って聞いてくれた。正直、何度も同じ話をしたと思う。 でもさ、ずっと笑いながら聞いててくれたんだ。 一度、「おまえはよ、俺には勿体ないぐらい良い妹だな。」って言った時、とびっきりの笑顔で答えを返してくれた。 あの時は本当にうれしかった。 これ書いてる今でも鮮明に覚えているぐらいだからな。 それから二ヶ月ぐらいたった頃だった・・・・・・。 久しぶりに家族そろって病院に行った。 入院した頃に比べたら妹は本当に痩せてて触ったら折れてしまうんじゃないかってぐらい細い腕になっていた。 それはそうだ、ずっとベットの上で大して動けずにずっと、食べやすいようにされたどろどろの病院食と点滴だけだ。 一度、お見舞いの時に苺のショートケーキを買って持っていったんだが、その時は食べることをゆるされなかった。 目の前にあるのに食べられないっていう辛い思いをさせてしまったから、その日以来、食べ物は持っていかないようにしてた。 でも、その日は違った。 親父がいきなり「何か食べたいものはあるか?」って言った。 俺は不思議に思っていたんだが、妹はそんな俺にはお構いなしで大喜びだった。 案の定、苺のショートケーキが食べたいって言った。 親父は奮発して高いのを買ってやるって言ってた。 その日は本当に久しぶりにみんなが大笑いできた日だった。 病院の帰り、車の中で俺はさっき思っていたことを親父に聞いた。 「もう、普通の食事をしてもいいのか?ってことはよくなってるんだよな!?」って嬉しくて大声で言った。 そしたら、親父は黙り込んだ。どういう訳か母さんも俯いてた。 さすがに俺も薄々感づいてた。 親父は言った。 「先生(医師)の話では、もう長くはないそうだ。」 そんな、本当にそんな素っ気ない言葉で俺は頭の中が真っ白になっていた。 妹の体は衰弱しきっていたらしい。 何のための苦しい手術だったんだ。 何のための長い入院生活だったんだ。 まだ何か言ってたけどあんまり覚えてない。母さんは横で泣いてた。 その時俺はどうして良いかわからなかった。 |
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【95】 |
(%) (2010年05月06日 02時02分) |
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これは 【94】 に対する返信です。 | |||
次のお見舞いの日に、いつも食べていたようなスーパーで買う苺ショートケーキとは違って専門店の高い苺ショートケーキを買っていった。 苺も本当に大きくて甘そうだった。それをみて妹は大はしゃぎ。 苺のショートケーキを渡したら、本当に久しぶりに顔で合図をしてきたんだ。 そのことが本当は嬉しかったけどいつものように「はいはい・・・・・・」って感じで苺を渡そうとした。 でも、それを妹が遮った。 「今日は兄ちゃんが私の苺も食べて」って・・・・・・。 俺は一瞬呆気にとられていた。だって久しぶりのショートケーキでしかも高い奴なのに。 なんでそんな事するんだって聞いた。理由を聞いても「いいじゃん。」ってくびを振るだけ。 俺も初めはしぶっていたんだがどうしてもって言うから素直に貰うことにした。 その様子を見て妹は本当に嬉しそうな顔をした。 で、一緒に食べた。苺のショートケーキ。 それで妹が聞いてきた。 「苺、おいしかった?」って。 俺はうなずいた。本当においしかった。 あの時改めて思ったのが「食べ物は一緒に食べる人によって味がかわるもんだな」って。 どういうわけか、同じ苺なのに妹の方が甘く感じるんだ。気持ち一つでここまで変わるんだなって正直びっくりした。 その後もいつものように何気ない話をして笑った。 その中で、やっぱり親父が妹に言うんだよ。 「元気になって退院したら何処か行きたいところはあるかい?」って。 俺は、遊園地かそこらだろうかって考えてた。 妹はちょっと考えてから 「家に帰りたい。」「家のテーブルでみんなと一緒にお母さんのごはんが食べたい。」って・・・・・・。 俺、自分の考えの浅はかさに怒りを覚えたよ・・・・・・。 今の妹にはそんな当たり前のことですら願いごとに値するほどなのに。 病室にいられなくなってトイレに行って泣いた。もう、わけがわからなくなって。 親父と母さんはさすが大人だと思った。 家に帰るまではずっと笑顔のままだったんだから。 ついにその日がきた。あのときも朝だった。 今度は目覚ましでなんて起きない、親父の怒声でおきた。容態が急変したらしい。 着替える暇もなくパジャマのまま車にのって病院にいった。 妹は呼吸を荒げていた。遠くからでもわかりそうなぐらいに荒かった。 病院に行ったあの日よりも辛そうな顔にいっぱい汗をかいてた。 母さんが妹の手を握ってた。母さんの手は真っ白になってた。 それぐらい力が入ってたんだと思う。 |
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