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RE:からふと犬2  評価

樺太犬りき (2012年07月20日 23時52分)

         <ああ、この犬です。まさにこのわんちゃんです。>

ある晴れた春の日、一匹の野良犬が、家の近所に現れた。薄い茶のラブラドールのような感じだが、ミックス犬だ。
お世辞にもかわいい子犬ではなく、大人の中型犬だ。

耳が裂けていた、他の犬と喧嘩したのだろうか。近寄っても警戒して、遠くからうなるだけだ。大人になってからの捨て犬は、心の傷が大きいのだろう。

何日も、何日もその犬とコンタクトとろうとしたが、いつも、遠くから唸るだけだ。尻尾など 、ピクリともしない。

ある日、その犬は消えていた。私の家は、住宅街だ、中型犬の野良犬が何日も、さまよっていられるわけがない。保健所に連れて、いかれたのであろう。仕方がないな・・と思いながら、やりきれない、2,3日が過ぎていった。

そんなやりきれなさに、耐えられなくなって、思い切って、保健所に連絡すると、野良犬狩りにあった犬は、動物管理センターというところに、入れられ1週間程経過で、処分されると言う。

動物管理センター・・まさに、そこには、死を待つだけの犬や猫が、悲しい鳴き声をさせて、大きな檻に何頭も入れられていた。気分が落ち込む。

管理センターの人に気になる野良犬がいるので、中を見せてほしいと頼んだ。
私が通りかかると、檻の柵まで駆け寄る犬が多い、皆、自分の運命を、察知しているのである。助けを求めているのだろうか。あの子はいない・・

と、ある檻の前に行くと、またも何頭も柵のとこまで、来て「わんわん、わんわん」と吠え掛かった。そのとき、檻の後ろで、いじけたようにあごを出して、うつぶせになっていた犬が、私に気がついた。猛然、と他の犬を押しのけ、まさに私の真正面にたって、これでもかっていうほど、尻尾を振っていた。
隣の管理センターの人に、私は叫んだ

「ああ、この犬です。まさに、このわんちゃんです。」

帰り際、管理センターの人が、私に声を掛けた、

「野良犬じゃなく、あんたの飼い犬だったんだろ?」

私は、にが笑いしながら、その犬とともに無言で立ち去った。

生きたいという、必死の思いが、私の顔を見た瞬間、あのような行動になったんでしょう。
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